フ
『フィレンツェ史』
ふぃれんつぇし
ニッコロ・マキァヴェッリ·近代
メディチ家失脚後にマキァヴェッリが綴った都市国家史
哲学政治哲学歴史
この著作について
ニッコロ・マキァヴェッリ晩年の歴史叙述にして、『君主論』『ディスコルシ』に並ぶ主要著作のひとつ。メディチ家の依頼で執筆されながら、共和主義者としての著者の信念と諸侯への辛辣な政治観察が随所ににじむ、屈折した古典である。原著は没後一五三二年に刊行された。
【内容】
全八巻からなる本書は、古代ローマ起源と語られるフィレンツェの建市から始まり、ゲルフ派とギベリン派の党派抗争、有力家門ピッツィ家やアルビッツィ家の興亡、ジョルジョ・スカリやチョンピの乱、コジモ・デ・メディチの台頭、そしてロレンツォ・イル・マニフィコの死(一四九二年)に至る都市共和国の歴史を辿る。マキァヴェッリは単なる年代記ではなく、党派の論理・国家理性・徳と運命の関係といった政治哲学的問題を、史実の編成と人物の演説のなかに埋め込んでいる。古代史家サッルスティウスやリウィウスを範とした文体的野心も大きい。
【影響と意義】
本書は近世ヨーロッパ歴史叙述の転回点のひとつであり、史料に基づく政治分析という近代史学の方法を準備した。さらに、君主と共和制、徳と腐敗の循環といった『ディスコルシ』の主題が具体的な歴史叙述としてどう展開されるかを示す点で、マキァヴェッリ思想の総合的読解に欠かせない。
【なぜ今読むか】
党派抗争・ポピュリズム・寡頭支配といった、現代社会にも通じる政治病理が生々しく描かれている。政治とは何かを歴史の具体例から考え直したい読者にとって、今なお読みごたえのある古典である。
著者
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