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『エンゲルス:マルクスに将軍と呼ばれた男』
えんげるすまるくすにしょうぐんとよばれたおとこ
トリストラム・ハント·現代
マルクスを支え続けた盟友エンゲルスの生涯を描く決定版評伝
哲学思想史伝記
この著作について
イギリスの歴史家トリストラム・ハントによるフリードリヒ・エンゲルスの本格評伝である。原題『The Frock-Coated Communist: The Revolutionary Life of Friedrich Engels』、二〇〇九年刊。日本語版は東郷えりか訳で二〇一六年に筑摩書房から刊行された。
【内容】
プロイセンの裕福な紡績工場主の家に生まれた青年エンゲルスが、マンチェスターの工場経営に従事しながらマルクスの研究と生活を四十年にわたり物心両面で支えた軌跡を追う。革命家として一八四八年にライン川流域で戦闘に加わり、軍事評論を執筆したことから「将軍」と呼ばれた経緯、『イギリスにおける労働者階級の状態』に込められた都市社会観察の鋭さ、そしてマルクス没後に『資本論』第二巻・第三巻を編集刊行した献身が、当時の手紙や文書から立ち上がる。
【影響と意義】
二十世紀の社会主義運動の中でエンゲルスは「マルクス主義」の体系化者として教条的に扱われがちだったが、本書は人間としての矛盾と魅力を公正に描き直し、近年のエンゲルス再評価の礎となった。産業資本主義の最前線にいた経営者が同時に革命思想の最大の擁護者でもあったという二重性は、現代の資本主義批判を考える上でも示唆に富む。
【なぜ今読むか】
格差・労働・都市という十九世紀的問題が再浮上する今、エンゲルスの観察と実践の両輪を辿ることは現代の手がかりになる。生き生きとした筆致で読み応えのある、一級の歴史伝記である。
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