自
『自我とエス』
じがとえす
ジークムント・フロイト·近代
エス・自我・超自我の三審級構造を確立した後期フロイトの理論書
心理哲学
この著作について
ジークムント・フロイトが1923年に公刊した、精神分析の構造論を確立した理論的著作。それまでの「意識・前意識・無意識」の局所論的モデルを再編成し、「エス・自我・超自我」の三審級モデルを提示した、後期フロイト思想の決定的転回点である。
【内容】
人格を、快感原則に従い欲動的エネルギーの貯蔵庫である「エス」、現実原則に従い身体と外界を媒介する「自我」、そして親との同一化を通じて形成される内的審級「超自我」の三つに分節する。自我は一方でエスの欲動圧、他方で超自我の道徳的要求、さらに外界の現実の三方向から圧力を受ける弱い存在だとされる。罪悪感の無意識性、自己処罰衝動、そして生と死の欲動の絡み合いが精密に論じられる。
【影響と意義】
ラカンの鏡像段階・象徴界論、対象関係論、自我心理学など、20世紀の精神分析諸派の出発点となった。フランクフルト学派の批判理論、ジュディス・バトラーのジェンダー論、トラウマ研究も同じ源流から分かれる。
【なぜ今読むか】
「なぜ自分は自分の思い通りにならないのか」という日常的経験を、最も鋭利な概念装置で解剖する古典。
著者
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