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観無量寿経《かんむりょうじゅきょう》

かんむりょうじゅきょう

作者不詳·古代

阿弥陀仏と極楽浄土の観想法を説く浄土三部経の一つ

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宗教

この著作について

5世紀頃に成立したとされる大乗仏教の経典。『無量寿経《むりょうじゅきょう》』『阿弥陀経《あみだきょう》』と共に浄土三部経の一つをなし、東アジア浄土教の思想的基盤を構成する、浄土信仰の根本経典である。

【内容】

マガダ国の王子阿闍世が父・頻婆娑羅王を幽閉したという悲劇から始まる物語形式。王妃韋提希(イダイケ)の悲嘆に応えて釈尊が現れ、苦しみの世界を離れる道として阿弥陀仏の極楽浄土を説き示す。十六の観想(十六観)が段階的に展開され、日想観から始まって水想観・地想観を経て、阿弥陀仏の身体、観音菩薩、勢至菩薩の観想、そして凡夫の九品往生へと至る。最後の下下品往生では、死の直前に十念の念仏によっても救われる可能性が説かれる。

【影響と意義】

中国の善導観経疏がこの経典の凡夫救済の側面を強調することで、東アジア浄土教の民衆的基盤が確立した。日本では法然《ほうねん》・親鸞《しんらん》・一遍《いっぺん》が教義の中心に据え、鎌倉新仏教の展開の基軸となった。観経変相図という絵画ジャンルが発達し、視覚的信仰の媒体にもなった。

【なぜ今読むか】

仏教における「他力救済」思想の核心を理解する上で、最も物語性豊かな経典。親殺し・幽閉・絶望といった暗い物語から出発するだけに、現代の臨床的苦しみとの接続も感じ取りやすい。

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