資
『資本主義を語る』
しほんしゅぎをかたる
岩井克人《いわいかつひと》·現代
経済学者・岩井克人が資本主義の本質と限界を哲学的に論じた対話集
経済哲学
この著作について
不均衡動学と貨幣論で知られる経済学者・岩井克人《いわいかつひと》が、資本主義の本質と矛盾を哲学的視座から語り下ろした対話集。
【内容】
本書はまず、資本主義を支える「貨幣」とは何かという問いから始まる。貨幣は金や紙といった物質的価値ではなく、「誰もが貨幣として受け取るから貨幣である」という自己循環的な信認の上に成り立つ。この貨幣論を出発点に、資本主義がなぜ本質的に不均衡で、バブルや恐慌を構造的に内在させるのかが説かれる。続いて、会社(法人)をめぐる論点として、会社は誰のものか、株主主権論とステークホルダー論、日本的経営の再評価、信任(フィデューシャリー)の倫理が扱われる。グローバル資本主義、金融化、ポスト産業社会の変質まで、経済学と哲学と日本論が絡み合って進む。
【影響と意義】
著者の『貨幣論』『会社はこれからどうなるのか』と並ぶ一般向けの代表作であり、新古典派経済学の「均衡」像を問い直す日本語の重要な視点を提供してきた。経済学の専門家のみならず、経営者、法律家、哲学研究者にも読者を得ている。
【なぜ今読むか】
暗号資産、金融危機、会社の倫理、サブスクリプション経済といった現代の経済現象は、いずれも貨幣と会社の本性に関わる問いを再浮上させる。数式を使わずに経済の根本を考えるための、信頼できる日本語の対話である。