フィロソフィーマップ

会社はこれからどうなるのか

かいしゃはこれからどうなるのか

岩井克人《いわいかつひと》·現代

ポスト産業資本主義における会社の本質を問い直した経済哲学

Amazonで見る
哲学社会思想

この著作について

経済学者・岩井克人(いわいかつひと、1947〜)が2003年に平凡社から刊行した著作で、第3回小林秀雄賞を受賞した一般向け代表作である。後にちくま学芸文庫に収められ、長く読み継がれている。会社という制度の本質と、ポスト産業資本主義における会社の変容を、法学・経済学・哲学を横断して論じる。

【内容】会社は「法人」と呼ばれるが、それは何かが擬制的に「人」とされる二重存在である。岩井はこの二階建ての構造を、株主主権論と従業員主権論のいずれにも還元しない第三の視点として読み解く。会社の歴史を中世イタリアのコンメンダから株式会社の登場、現代の知識資本主義まで辿りつつ、ヒトとモノの境界に位置する「人的資本」の倫理(フィデューシャリー)の倫理が扱われる。グローバル資本主義、金融化、ポスト産業社会の変質まで、経済学と哲学と日本論が絡み合って進む。

【影響と意義】著者の貨幣論と並ぶ一般向けの代表作であり、新古典派経済学の「均衡」像を問い直す日本語の重要な視点を提供してきた。コーポレートガバナンス論争や株主主権論の見直しの文脈で、経営学・法学の研究者にも広く参照される。社会学の佐伯啓思や水野和夫らの資本主義論とも響き合い、現代日本の経済哲学の到達点として位置づけられる。

【なぜ今読むか】株主主権か従業員主権か、という二項対立では捉えきれない会社の本質を理解するための思考の手がかりとなる。AIと無形資産が経済の中心になる時代に、会社という制度をどう設計し直すかを考える出発点である。

Amazonで見る