『カミュの言葉 光と愛と反抗と』
かみゅのことば ひかりとあいとはんこうと
西永良成·現代
西永良成による地中海の光と反抗を辿るカミュ入門。
この著作について
フランス文学者・西永良成によるカミュ入門で、ぷねうま舎から2018年に刊行された。
【内容】カミュの生涯を辿りながら、著作・手帖・往復書簡からの数多くの引用を通じて、その思想と人柄を紹介するエッセイ風の解説書である。アルジェリアの貧しい少年時代、結核との闘い、レジスタンスへの参加、サルトルとの決別、ノーベル文学賞受賞、不慮の交通事故死までを、章ごとに「光」「愛」「反抗」といった鍵語で照らし出す。地中海的な感性と倫理的厳格さの両立というカミュ像が、作品の言葉そのものから立ち上がってくる構成となっている。
【影響と意義】研究者の手堅い読解と、文学愛好家としての温かい筆致が両立した、近年のカミュ案内書である。難解な哲学的解釈に踏み込みすぎず、カミュ自身の言葉に語らせる姿勢が、入門書としての信頼性を支えている。
【なぜ今読むか】不条理と希望のあいだで生きる現代人にとって、カミュの肉声に近づく手引きとして適している。短い引用を起点に作品本体へ進む読書計画にも向く一冊である。
さらに深く
【内容のあらまし】
本書は、カミュが残した膨大なテクストから言葉を選び、それぞれに説明とコメントを添えた語録集である。2018年3月にぷねうま舎から出た上製の四六判で、カミュの肖像を収め、巻末には主要参考文献がつく。本文は「太陽と貧困」「反抗と暴力」「歴史とテロ」の三章からなる。版元は、第二次世界大戦の戦後処理からアルジェリア戦争、ノーベル賞受賞へ、『異邦人』から『ペスト』、そして遺作へと、折々の断章を編むことでカミュの生の全体像を立ち上げる本だと紹介している。
第1章「太陽と貧困」は、アルジェリア、抒情的エッセー、アルジェリア時代の社会活動などの節を含む。節の題にあるアルジェリア時代について補えば、カミュはフランス領アルジェリアのモンドヴィに生まれ、苦しい暮らしのなかでアルジェリアの大学に学んだ。「アルジェ・レピュブリカン」紙に国の政治状況を書き、新聞が発禁となったのちにパリへ移っている。
第2章「反抗と暴力」には、政治とモラル、「犠牲者も否、死刑執行人も否」、『ペスト』などの節がある。カミュは解放後に「コンバ」紙の論説を書いた。節の題の「犠牲者も否、死刑執行人も否」は、1946年11月に同紙に連載された論説の題で、そこでは暴力と殺人がそれを行う者、受ける者、見る者に何をもたらすかが論じられた。もう一つの節の題『ペスト』は1947年の小説で、作中の医師リウーはペストに倒れたオランの市民を休みなく診つづける。
第3章「歴史とテロ」は、ノーベル賞、アルジェリアの悲劇、そして未完の自伝的小説を節の題に掲げる。1957年のノーベル文学賞は、明晰な真剣さで現代の人間の良心の問題を照らし出した重要な文学的業績に対して贈られた。カミュは1960年1月4日に世を去り、未完の小説は1994年に娘カトリーヌの手でガリマール社から刊行された。
著者の西永良成は1944年生まれで、パリの高等師範学校とソルボンヌ大学に留学したフランス文学者であり、東京外国語大学の名誉教授である。1976年には白水社からカミュの評伝を出している。
関連する哲学者
関連する哲学者と話してみる
