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事実性と妥当性

じじつせいとだとうせい

ユルゲン・ハーバーマス·現代

討議理論を法と民主主義の基礎に据えたハーバーマスの法哲学主著

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哲学政治

この著作について

ユルゲン・ハーバーマス(Jürgen Habermas)が1992年に刊行した法哲学・政治哲学の主著(原題『Faktizität und Geltung』)。邦題は『事実性と妥当性』で岩波書店から二分冊で翻訳されている。

【内容】

法は一方で国家権力による強制という「事実性」と、他方で市民の自発的承認を要求する「妥当性」という、緊張する二つの契機を孕む。ハーバーマスはこの緊張を、コミュニケイション的行為の理論(1981)で展開した討議理論によって整理し直す。合法性は道徳とも実定法とも還元されない独自の論理をもち、公共圏における自由な熟議の手続きから規範的正当性を汲む。私的自律(基本的人権)と公共的自律(民主的政治参加)は対立ではなく相互構成の関係にあり、両者を同時に実現する制度設計として法治国家と熟議民主主義が要請される。熟議民主主義、憲法愛国主義、ヨーロッパ公共圏といったハーバーマス後期の主要概念はすべて本書に結実する。

【影響と意義】

本書は英米圏ではロールズとの対話を通じて受容され、ドイツ語圏では連邦憲法裁判所の判決にも影響を与えた。熟議民主主義論(デューイ的伝統との接続)、討議倫理学、トランスナショナルな憲法理論に至るまで、現代政治哲学の中心的論争点の多くが本書を出発点としている。

【なぜ今読むか】

ポピュリズムの台頭と熟議の空洞化が進むなかで、民主主義の規範的基礎を手続き的にどう守るかという問いは依然切迫している。

著者

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