随
『随筆集』
ずいひつしゅう
フランシス・ベーコン·近代
英語圏エッセイの伝統を確立した格言風の名著
文学哲学
この著作について
フランシス・ベーコンが1597年に初版、1625年に大幅改訂した最終版を公刊した英語エッセイの古典。モンテーニュとほぼ同時期にヨーロッパに現れた「エッセイ」という新形式を、英語圏で最初に定着させた記念碑的著作である。
【内容】
全58章。真理・死・復讐・逆境・結婚と独身・妬み・野心・友情・読書・統治・旅行・騒乱と動乱など、公的生活と私的生活の両方にわたる主題を簡潔な格言風の文章で論じる。モンテーニュが自己への内省を積み重ねたのに対し、ベーコンは政治家・法律家としての経験を背景に、人間本性と社会運営の実務知を冷徹に抽出する。「読書は人を豊かにし、会話は人を機敏にし、書くことは人を正確にする」など、今も引用される箴言《しんげん》が多い。
【影響と意義】
近代英語散文の一つの模範となり、18世紀のアディソン、スティール、ジョンソンの随筆に、さらに米国のエマソンにまで系譜が伸びる。ベーコンの科学論『ノヴム・オルガヌム』と対をなす、実践知の側面の主著でもある。
【なぜ今読むか】
一章2〜3ページで完結するから通勤電車で十分読める。4世紀を超えて色あせない観察眼は、自己啓発書に疲れた読者の解毒剤にもなる。
著者
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