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カルメル山登攀

かるめるさんとうはん

十字架のヨハネ·近代

魂の徳の登山道を体系化したカルメル神秘主義の精髄

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宗教神秘主義

この著作について

十字架のヨハネが1578〜85年頃にトレドで執筆した『カルメル山登攀(Subida del Monte Carmelo)』。同じく彼の暗夜と並ぶ神秘主義神学の主著で、本来両書は連続した著作として構想されていた。

【内容】

魂が神との合一に至る道を、カルメル山を登る霊的登山として描く。三巻構成。第一巻は「感覚の能動的暗夜」を扱い、地上のあらゆる愛着・所有から自由になることの必要を説く。第二巻と第三巻は「霊的能動的暗夜」を扱い、知性・記憶・意志という霊的諸能力それぞれが、神の純粋な信仰の前で空にならねばならないと論じる。「無(nada)」の道、「すべてを所有するためには何ものをも所有しないこと」というパラドキシカルな霊性が中心テーゼ。著者自身が描いた「カルメル山の図」が冒頭に掲げられ、登山道の頂上に「光と栄光」へ通じる細道が描かれている。

【影響と意義】

中世から近代へ続く神秘神学の伝統の総決算であり、エックハルトの否定神学、テレサの内省神秘主義を統合する。20世紀の現象学(特にメルロ=ポンティ・レヴィナス)の他者論・「無」概念とも対話可能なテクストとして読み直されている。

【なぜ今読むか】

物質的豊かさの時代に「所有しないこと」「期待しないこと」を通じた充足という対抗的視座を提供する古典である。

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