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『ヨーガ・スートラ』
パタンジャリ·古代
パタンジャリが体系化した古典ヨーガ哲学の根本聖典
哲学アジア
この著作について
紀元前2世紀から紀元後5世紀のあいだに編纂されたとされる、サンスクリット語による古典ヨーガ哲学の根本聖典。著者は伝統的にパタンジャリとされる。約195のスートラ(短句)からなる4章構成で、ヨーガ六派哲学の中核として、現代のヨガ実践の理論的源流となっている。
【内容】
第1章「サマーディ篇」で、ヨーガを「心の作用の止滅(チッタヴリッティ・ニローダ)」と定義し、心の働きを5種類に分類する。第2章「サーダナ篇」で、八支則(ヤマ・ニヤマ・アーサナ・プラーナーヤーマ・プラティヤーハーラ・ダーラナ・ディヤーナ・サマーディ)を提示し、倫理的戒律から呼吸法・瞑想・三昧へと至る段階的修行を体系化する。第3章「ヴィブーティ篇」で、瞑想がもたらす超常能力(シッディ)を扱い、第4章「カイヴァリヤ篇」で、純粋な独存(解脱)の境地を論じる。
【影響と意義】
サーンキヤ哲学の二元論(プルシャとプラクリティ)を前提に、それを実践的修行論として体系化した点で独自性を持つ。インド亜大陸での影響に加え、19世紀以降ヴィヴェーカーナンダ・ヨガナンダらを通じて欧米に紹介され、20世紀後半のヨガブーム以降は世界中で実践される身体技法・瞑想技法の理論的基盤となった。日本では岡倉天心、鈴木大拙《すずきだいせつ》、中村元《なかむらはじめ》らがインド思想紹介の文脈で取り上げてきた。
【なぜ今読むか】
現代のヨガ・マインドフルネス・瞑想ブームの背後にある哲学的枠組みを直接たどれる古典。心身の関係、注意の集中、自己と世界の関係を問い直すための実践的指針として、今もなお現役の参照源である。