西
『西東詩集』
せいとうししゅう
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ·近代
東西を架橋するゲーテ晩年の連作詩集
哲学文学ドイツ文学詩
この著作について
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが1819年に初版、1827年に増補版として公刊した連作詩集。14世紀ペルシアの詩人ハーフィズの詩集 Divan のドイツ語訳に深く触発され、東洋的詩境とゲーテ自身の抒情を融合させた、晩年期の代表作である。
【内容】
「歌びとの巻」「ハーフィズの巻」「愛の巻」「箴言の巻」「不機嫌の巻」「ティームール(ティムール)の巻」「ズライカの巻」「給仕の巻」など、十二の巻からなる。架空のペルシア詩人ハーテムと愛人ズライカが歌い交わす設定をとり、酒・愛・友情・老い・宗教的寛容といった主題が、東西の詩的伝統を行き来しながら歌われる。「ズライカの巻」には実在の女性マリアンネ・フォン・ヴィレマーが直接書き送った詩篇まで取り込まれ、男女と東西の声が複雑に絡み合う構造をもつ。詩集には自作の詳細な「注解」が付され、当時のヨーロッパにおける東洋研究の到達点を映している。
【影響と意義】
ヨーロッパ・ロマン派におけるオリエンタリズムの古典的事例とされ、エドワード・サイードやサミュエル・ハンチントンの議論でも参照点となる。同時に、異文化への敬意ある接近を試みた早期の実例として、現代の比較文学・宗教間対話の議論にもしばしば呼び戻される。
【なぜ今読むか】
他文化を「他者」として消費するのでなく、自分の声と編み合わせる試みは、グローバル化と文化衝突の時代の参照点になる。
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