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斜陽

しゃよう

太宰治·現代

太宰治の没落貴族を描く小説

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哲学

この著作について

太宰治が敗戦直後の混乱期に著した長編小説で、滅びゆく華族の家を舞台に、古い道徳と新しい生の衝突を描いた代表作。

【内容】

戦後に東京の邸を畳み伊豆の山荘に移り住む華族の一家。物語は長女かず子の一人称で進む。病弱な弟直治は戦場から帰還したのち、麻薬と退廃に沈む。気品ある母はゆるやかに死へ傾いていき、その最期は「最後の貴婦人」として静かに描かれる。かず子は妻子ある小説家・上原二郎に手紙を書き送り、「恋と革命」のために子を宿そうと決意する。旧い美徳への愛惜と、新しい生への猛烈な渇きが交錯し、太宰が愛読したチェーホフ的な崩壊感覚と自伝的な翳りが溶け合う。

【影響と意義】

発表直後から大反響を呼び、没落貴族を指す「斜陽族」という語を日常語に送り込んだ。戦後日本の喪失感と再出発の感情を言葉にした小説として、人間失格と並ぶ太宰の代表作に位置づけられている。

【なぜ今読むか】

生活の土台が崩れていく時代に、何を守り何を手放すかという問いは、形を変えて現代に繰り返されている。気品と欲望、諦めと希望が拮抗する文章は、自分の喪失感を丁寧に言葉にする手がかりになる。

著者

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