フィロソフィーマップ
T

『The Significance of Free Will』

Robert Kane·現代

自由意志を自分の目的の究極的な創り手となる力ととらえ、リバタリアンの立場から擁護する書

哲学

この著作について

ロバート・ケーンが自由意志と道徳的責任をめぐる問題を論じた著作で、1996年にオックスフォード大学出版局から刊行された。国立国会図書館には同じ出版局の1998年刊(ISBNは別)の記録もある。「非両立論」あるいは「リバタリアン」と呼ばれる自由意志の見方の一つの形を打ち出し、擁護する本である。

【内容】

ケーンが守ろうとするのは、自由意志を、行為者が自分自身の目的や意図の究極的な創り手であり支え手である力とみなす古典的な見方である。目次は序論のあと二部に分かれる(題は英語目次の訳)。第一部「上昇の問題」は副題が両立可能性と意義で、意志、責任、他行為可能性、究極的責任、意義の各章を置く。第二部「下降の問題」は副題が理解可能性と存在で、複数性と非決定性、道徳的選択と思慮的選択、努力・目的・実践理性を扱い、反論と応答の章を経て結論へ進む。あわせて本書は、近年およそ25年間の自由意志論争の大半を取り上げ、論争を広く見渡す概観としても読める。巻末には注、参考文献、索引が付く。

【影響と意義】

本書は、自説の提示と近年の論争の概観という二つの性格を一冊に併せ持つ。出版社の紹介は、古典的な自由意志の見方を現代の幅広い批判者に対して擁護する本だと述べる。目次にも、反論と応答を題とする章が独立してある。

【なぜ今読むか】

自分の選択は本当に自分のものと言えるのか。責任を問える根拠はどこにあるのか。本書は自由意志と道徳的責任の両方を主題に据え、自由意志を擁護する側の議論を、反論への応答の章まで含めて一冊で追える。自由意志に批判的な人にとっても、擁護する側の言い分を確かめる手がかりになる。

関連する思想

Amazonで見る