親
『親鸞《しんらん》』
しんらん
五木寛之·現代
親鸞の生涯を史実と虚構を織り交ぜて描く全6巻の大河小説。
哲学
この著作について
作家の五木寛之が、親鸞の生涯を史実と虚構を織り交ぜて描いた全6巻の大河小説である。本篇、激動篇、完結篇の三部構成で、2010年から2014年にかけて講談社より刊行され、後に講談社文庫に収められた。新聞連載時から大きな反響を呼び、近年の親鸞ブームの一端を担った。【内容】比叡山を下りて法然《ほうねん》のもとに参じる青年期から、承元の法難による越後流罪、関東での教化活動、京都への帰還、そして晩年に至る親鸞の生涯を辿る。歴史記録の少ない部分は虚構の人物や出来事で大胆に埋め、悪人正機の思想がいかに生身の生活と苦悩の中で鍛え上げられたかを描く。市井の人びと、武士、農民、遊女らとの交わりを通じて、教義の言葉が現実の救いとなる過程が立体的に立ち上がる。【影響と意義】五木は長年仏教に深い関心を寄せ、エッセイや講演でも親鸞を繰り返し語ってきた。集大成というべき本作は、研究書ではなく生活者としての親鸞像を文学的に再構築した点に独自の意義がある。教義の解説書では届きにくい層にまで親鸞を広めた功績は大きく、現代の親鸞理解の幅を確実に広げた。【なぜ今読むか】悩み、迷い、罪を背負って生きる人間に寄り添う親鸞の姿は、不安の時代を生きる現代人に今も静かに響く。
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