利
『利己的な遺伝子』
りこてきなでんし
リチャード・ドーキンス·現代
ドーキンスが遺伝子中心の進化観を提唱した現代進化論の必読書
哲学
この著作について
進化生物学者リチャード・ドーキンスが若き日に出版し、進化生物学を一般読者の共通語彙に押し上げた現代進化論の古典。
【内容】
本書はまず、自然選択の本当の単位は個体でも種でもなく「遺伝子」であるという視点の転換から始まる。生物とは、遺伝子が世代を超えて自己を複製するために使う「生存機械」にほかならない。この視点からハミルトンの血縁選択、メイナード=スミスのゲーム理論的進化、相互利他主義、親と子の利害対立、性選択と雌雄の戦略、群淘汰論の困難などが、具体的な動物の行動例とともに説明される。最終章では、遺伝子に倣いつつも独立して文化的に複製される単位として「ミーム」という概念が提案され、のちにインターネットで独自の広がりを得る語を世に送り出した。
【影響と意義】
二十世紀後半の進化生物学の平易な決定版として、生物学・心理学・人類学・経済学・文化研究まで、多くの分野に「遺伝子視点」と「ミーム視点」を浸透させた。ピンカー、E・O・ウィルソンらの仕事と合わせて、現代の人間理解を形づくっている。
【なぜ今読むか】
利他性や親切、恋愛や嫉妬といった人間的行動を、物語ではなく進化の論理から眺め直す視座を与えてくれる。自分や他人の行動を少しだけ距離を置いて見るための、強力な知的レンズである。