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三四郎

さんしろう

夏目漱石·近代

夏目漱石の青春小説

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哲学

この著作について

夏目漱石が「朝日新聞」に連載した前期三部作の第一作で、明治末期の青年の目に映った「新しい東京」を鮮やかに切り取った青春小説。

【内容】

熊本の高等学校から帝国大学入学のため上京する小川三四郎は、汽車のなかで不思議な女性と同宿したり、髭を生やした「広田先生」に出会ったりしながら、未知の世界へ分け入っていく。大学の教室、本郷界隈の下宿、池の畔での運動会、野々宮・与次郎・美禰子《みねこ》ら新旧入り乱れた人物たちとの交流を通じて、恋愛未満の淡い感情と知的憧れが少しずつ輪郭を帯びる。美禰子《みねこ》との関係は「ストレイ・シープ」という言葉を残して結晶しないまま失われ、三四郎はかすかな寂しさとともに青年期の入口に佇む。

【影響と意義】

旧制高校的エリートの形成、近代都市東京の風俗、日露戦争後の知識人の精神状況を、私小説に流されない客観的筆致で描き切った点で、近代日本文学における都市青春小説のひとつの原型を確立した。後続のそれからと連なり、知識人の自我と社会との関係を問う一連の作品群の起点となる。

【なぜ今読むか】

進学や転職で新しい場に飛び込んだときの、胸の高鳴りと心細さ、つかみきれない他者への憧れは、百年を経てもまったく変わっていない。自分自身の青春期を言葉にする助けになる一冊である。

著者

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