そ
『それから』
夏目漱石·近代
近代日本知識人の内面の葛藤を描いた漱石中期の代表作
文学日本
この著作について
夏目漱石が1909年に朝日新聞に連載した長編小説で、『三四郎』『門』とともに「前期三部作」をなす中期の代表作。
【内容】
主人公の長井代助は、帝国大学を卒業しながら職に就かず、父と兄の仕送りで読書と音楽を楽しむ「高等遊民」である。かつて親友平岡の求めに応じて彼と三千代の結婚を取り持った代助は、平岡夫妻の生活の悲惨さに触れるうちに、自分が本当に愛していたのは三千代であったと気づく。父の勧める縁組を断り、平岡に三千代を譲ってほしいと告げた代助は、家と世間から切り離され、最後は職を探しに街へ出る。赤く燃える頭が象徴する近代知識人の不安と決断が、簡潔な文章で刻み込まれる。
【影響と意義】
日本近代文学が家族の倫理、個人の愛情、職業の問題をどのように扱いうるかを問うた転機となった作品で、明治末期の「高等遊民」の精神を描いた古典として読み継がれている。
【なぜ今読むか】
「本当の自分として生きることと、社会的役割を引き受けることのどちらを選ぶか」という問いは、現代の若者にもそのまま突き刺さる。静かな文体ながら根底で激しい一冊。
著者
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