願
『願文』
がんもん
最澄《さいちょう》·古代
比叡山に籠った最澄19歳の誓願の文
哲学日本思想仏教
この著作について
【内容】最澄が19歳のとき、比叡山に籠って書いた誓願の文である。延暦4年(785)頃の成立とされ、岩波『日本思想大系4 最澄』所収の校訂テキストで読むのが標準である。「愚中の極愚、狂中の極狂、塵禿の有情、底下の最澄」と自身を徹底的に低い位置に置き、仏道成就までは下山しない、私利を求めない、衆生を救うために修行するなど五つの誓いを立てる。
【影響と意義】短い文書ではあるが、日本仏教の出発点をなす古典的文書として位置づけられる。後の天台宗開創、大乗戒壇設立運動、入唐求法、徳一論争へと展開する最澄の生涯が、この一篇の自己認識から始まったといえる。自身の凡庸さを直視するところから絶対的な誓いを立てる構造は、日本宗教史における自己省察の原点として読まれてきた。
【なぜ今読むか】志を立てることの重みを、これほど凝縮された形で示す文章は稀である。古代の宗教者の言葉でありながら、現代において自分の生き方を問い直したい読者にも力を与える。最澄の思想の根を、その出発点で確認できる貴重な一篇である。
著者
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