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理性の使用:ひとはいかにして市民となるのか

りせいのしよう

富永茂樹·現代

啓蒙期の市民形成を論じた知識社会学の力作

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哲学

この著作について

知識社会学者・富永茂樹(京都大学)による啓蒙期市民形成論である。みすず書房から2005年に刊行された。

【内容】

本書は「人がいかにして市民となるか」という問いを、フランス革命前後の議論を通じて分析する。コンドルセの公教育論は理性の普遍的開花を国家事業として組織しようとした。シエイエスは社交への無関心を市民の条件として強調した。ピネルは精神医療の現場で、狂人をいかに社会の一員として迎え入れるかを考察した。多様な論者を横断しつつ、富永は「理性をいかに使うか」という個人の作業と、「市民を制度的にどう生み出すか」という社会の作業の交差点を浮かび上がらせる。コントの実証主義もこの文脈のなかで位置づけ直され、社会学の起源を思想史と接続する大きな見取り図が描かれる。

【影響と意義】

本書は啓蒙研究と社会学史を架橋する力作として、思想史・社会学双方の研究者から高い評価を受けた。読みごたえのある日本語の学術書として、人文書の存在意義を示す一冊である。

【なぜ今読むか】

民主主義が当然視される一方でその担い手の輪郭が曖昧になる現代において、市民の形成を歴史的に問い直すことの意義は大きい。

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