臨
『臨死体験』
りんしたいけん
立花隆·現代
臨死体験を科学・哲学・宗教の各側面から追う立花隆の大著ルポ
哲学宗教科学
この著作について
ジャーナリスト立花隆(1940〜2021)が1994年に文藝春秋から刊行した、臨死体験現象を多角的に追跡した上下二巻の長編ルポルタージュ。
【内容】
世界各地で報告されてきた臨死体験(NDE)について、レイモンド・ムーディ、ケネス・リング、ピム・ヴァン・ロンメルらの代表的研究を紹介し、日本人の体験者数十名への直接インタビューを集める。これと並行して脳生理学・神経科学・薬理学による物質主義的説明、心霊研究の歴史、チベット仏教・キリスト教・神道の死後観、量子物理学的解釈までを編み合わせる。立花は単一の結論を急がず、現象としての臨死体験の重みと、それをめぐる解釈の多様性を併存させる方法を取った。
【影響と意義】
本書は日本における臨死体験研究の事実上の標準入門書となり、医療・看護・グリーフケアの現場でも参照されてきた。二十世紀末の死生学ブームの理論的背景となり、その後のターミナルケア教育や緩和医療の議論に間接的影響を残した。
【なぜ今読むか】
科学的説明と宗教的解釈のいずれにも還元しきれない人間の体験を、ジャーナリズムの誠実な手続きで扱う方法論を学べる一冊である。