ポ
『ポストコロニアリズム』
本橋哲也·現代
ポストコロニアル理論の全体像を日本語で概説した岩波新書の入門書
哲学
この著作について
英語圏文化研究を専門とする本橋哲也《もとはしてつや》が、ポストコロニアル理論の全体像を日本の読者に向けて整理した岩波新書の定番入門書。
【内容】
本書はまず、近代の植民地主義がどのように世界を分割したかを概観する。続いてエドワード・サイードの『オリエンタリズム』における言説分析、ガヤトリ・スピヴァクの「サバルタンは語りうるか」という問題提起、ホミ・バーバの「模倣」「雑種性」「第三の空間」などの鍵概念、さらにはフランツ・ファノン、エメ・セゼール、スチュアート・ホール、ジェイムズ・クリフォードらの仕事が整理される。後半では、日本の植民地支配、在日朝鮮人、沖縄、アイヌ、戦後の占領と米軍基地といった問題群と、ポストコロニアル理論との接続が慎重に論じられ、理論を他人事としないための視座が示される。
【影響と意義】
日本語で書かれたポストコロニアル理論の概説書として、大学の英文学・文化研究・国際関係論の授業で広く副読本として用いられている。植民地責任論、歴史認識問題、観光と文化のグローバル化といった現代日本的課題と理論を接続する役割を担ってきた。
【なぜ今読むか】
旅行先での「他文化体験」、移民労働者との関わり、歴史認識をめぐる議論など、日常のあちこちに植民地主義の残像がある。自国の過去と世界との関係を、感情ではなく理論の語彙で考え直したい人に向いた一冊である。