オ
『オツベルと象』
おつべるとぞう
宮沢賢治·近代
搾取と解放を寓話的に描いた宮沢賢治の童話
文学
この著作について
宮沢賢治が1926年、岩手県花巻で刊行された児童雑誌『月曜』第1号に発表した童話。『注文の多い料理店』に続く中期の代表作で、労働と搾取の構造を寓話的に描いた、賢治童話のなかでも最も社会批評的な一作である。
【内容】
丁寧語の語り手「ぼく」が5日間の出来事として叙述する形式をとる。資本家然とした農場主オツベルの工場に迷い込んだ白象は、最初は歓待されるが、徐々に過酷な労働を強いられ、鎖で繋がれ、やせ細り飢えていく。白象が月に向かって助けを求める手紙を書くと、仲間の象たちが集団で工場を破壊しに現れ、オツベルは踏み潰されて死ぬ。語り終えた最後に「おや、川に入っちゃいけないったら」と唐突に物語が閉じる。
【影響と意義】
労働搾取とそこからの集団的解放を童話の枠内で描いた数少ない作品として、戦前から戦後にかけての労働運動・社会教育運動のなかでも引用された。宮沢賢治の「法華経的共同体」という倫理構想の一端を示す作品でもある。
【なぜ今読むか】
児童文学として単純に読めるが、背後にある労働と共生の問いは、現代の過労死・搾取的労働問題にそのまま響く。
著者
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