注
『注文の多い料理店』
ちゅうもんのおおいりょうりてん
宮沢賢治·現代
宮沢賢治の代表的な童話集
文学
この著作について
詩人・童話作家にして農業技師の宮沢賢治が、生前に自費出版した唯一の童話集。
【内容】
本書の表題作『注文の多い料理店』では、狩猟を楽しみにやってきた都会の若い紳士二人が、山中の奇妙な西洋料理店に迷い込み、次々と「注文」される扉を抜けていくうちに、自分たちが食べられる側であったことに気づいていく。同時に収められる「どんぐりと山猫」「狼森と笊森、盗森」「鹿踊りのはじまり」「水仙月の四日」「月夜のでんしんばしら」など全九篇は、いずれも岩手の自然、動物、風、雪、山の気配と人間の関係を、賢治独特の幻想的な筆致で描く。人間中心の文明への静かな批評が、やさしい語り口の奥に織り込まれている。
【影響と意義】
近代日本文学のなかでも自然と宗教性、生態系倫理を先取りした作品群として、近年ますます再評価されている。賢治の法華経信仰と農業技師としての思想的背景が、童話という形式のなかに凝縮されている。国語教科書を通じて世代を超えて親しまれ、アニメーションや舞台にも繰り返し翻案されている。
【なぜ今読むか】
子どもにも読めるやさしい文体と、奥に潜む文明批評・生命観の深さが共存している。気候変動と人間中心主義の限界が語られる時代に、読み返すたびに違う層が立ち上がってくる、生涯付き合える一冊である。
著者
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