心
『心の平静について』
こころのへいせいについて
セネカ·古代
心の動揺から自由になる道を説いたセネカのストア的対話篇
哲学
この著作について
ルキウス・アンナエウス・セネカが1世紀中葉に執筆した倫理的対話篇。友人セレヌスに宛てた形式をとり、魂の動揺(ラテン語で「不安定さ(inquietudo)」)から自由になる道を探る、ストア派倫理学の代表的テクストの一つである。
【内容】
全17章。セレヌスはセネカに対し、自分は哲学の教えを一応は身につけたはずなのに、なお退屈・自己嫌悪・無意味感に揺さぶられると打ち明ける。セネカはこれに対し、この「船酔いのような精神状態」を取り上げ、社会参加と孤独の適切なバランス、財産への節度、無益な社交の回避、悲嘆の抑制、酒との付き合い方など、具体的な処方箋を順に示していく。「心の平静(tranquillitas animi)」は無感動ではなく、「自己への一致」のうちに成り立つとするセネカ流のストイシズムが全篇を支配する。
【影響と意義】
中世スコラ学、ルネサンスの人文主義、近代ストイシズムを経て、現代の認知行動療法・マインドフルネス・アドラー心理学にまで系譜が伸びる。短く読めるストア派倫理の古典として標準的な位置を占める。
【なぜ今読むか】
心の浮き沈みを「治療可能なもの」として論じる姿勢は、そのままメンタルケア時代の自己対話に効く。
著者
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