ユ
『ユートピアだより』
ウィリアム・モリス·近代
美術工芸運動家モリスが描いた社会主義的ユートピア小説
文学社会思想
この著作について
1890年刊。アーツ・アンド・クラフツ運動の提唱者ウィリアム・モリス(William Morris)が、自らの社会主義的ビジョンを小説形式で描いたユートピア小説。
【内容】
十九世紀末のロンドンで眠りに落ちた語り手ウィリアムが、二十世紀後半の革命を経た未来のイングランドで目を覚ます。工場も貨幣も議会も私有財産も消滅し、テムズ河畔には職人たちの手仕事と庭園都市が広がる。労働が芸術的悦びと溶け合い、機械は人間を解放する道具として最小限に使われる。老いと死は自然な過程として受け入れられ、結婚や家族の形も多様化している。案内役の老人ハモンドが旧世界との対比を語りつつ、革命の記憶を伝える歴史章が差し挟まれる。
【影響と意義】
エドワード・ベラミー『顧みれば』への応答として書かれた本書は、二十世紀のエコロジカル・ソーシャリズム、工芸運動、ガーデンシティ運動、さらにはトールキンのミドルアースや現代のパーマカルチャー運動にまで思想的遺産を残した。
【なぜ今読むか】
脱成長・ハンドメイド回帰・気候変動時代の生活像を考えるうえで、一三〇年前のモリスの夢は意外なほど今日的である。