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空の論理

くうのろんり

中村元《なかむらはじめ》·現代

空の思想を哲学的に解説した入門的名著

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哲学入門

この著作について

戦後日本の仏教学を代表する中村元《なかむらはじめ》が、大乗仏教の中心概念である「空」を哲学的に掘り下げた論考。

【内容】

本書はまず、初期仏教における「無我」の教説から説き起こし、般若経《はんにゃきょう》典群で次第に輪郭を得ていく「空」の概念を辿る。続いて、二世紀の龍樹《りゅうじゅ》が中論で展開した「縁起《えんぎ》=空=中道」の三位一体的論理が、自性の否定、二諦、四句否定の方法とともに詳しく解説される。西洋哲学における「無」「否定」「絶対」の概念と比較しつつ、東洋思想における空の独自性が明らかにされる。空はニヒリズムではなく、あらゆる存在を関係の網のなかに位置づけ直すための積極的論理であることが、具体例とともに強調される。

【影響と意義】

日本語で空の哲学を学ぶ際の古典的入門書として長く読み継がれてきた。比較哲学、特に西洋形而上学と東洋思想の対話を模索する研究者にとって、中村自身の国際的な仕事とも連動する基礎文献となっている。

【なぜ今読むか】

VR、生成AI、流動する自己イメージが日常化するなかで、「固定した実体」を前提とする発想はますます揺らいでいる。空の哲学が与える「関係のなかで存在を捉える」視点は、そうした時代の思考を再編するうえで生きた資源となる。

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