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龍樹《りゅうじゅ》菩薩伝

りゅうじゅぼさつでん

鳩摩羅什 訳·古代

鳩摩羅什訳とされる龍樹の漢訳伝記

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仏教中観派龍樹

この著作について

鳩摩羅什(クマーラジーヴァ)の漢訳とされる、中観派の祖・龍樹(ナーガールジュナ)の短い伝記である。大正新脩大蔵経第50巻No.2047に収められる。

【内容】南インドのバラモン家に生まれた龍樹が、青年期の放縦と王宮への忍び込み事件を経て仏門に入り、雪山の大龍菩薩から大乗般若経《はんにゃきょう》典を授かったとする伝説を伝える。学派形成の過程、各地の論師との論争、王との交流、晩年の入滅に至る経緯までが簡潔に語られる。文体は伝記というよりも教団的記憶を物語化したものに近い。

【影響と意義】龍樹の生涯に関する古代資料は乏しく、本伝はそのなかで広く参照されてきた基本文献である。一方で記述には伝説的色彩が強く、史実性については古くから疑義が呈され、近代以降の文献学的研究のなかで批判的に扱われている。日本では単独の邦訳書というより、大蔵経や仏典資料集に収録される形で参照されることが多く、研究文献の脚注で言及されることがほとんどである。

【なぜ今読むか】思想家の伝記がいかに教団的・宗教的記憶として形成されるかを知る素材として興味深い。龍樹の中観思想そのものに踏み込む前に、人物像がどのように受容されてきたかを押さえる手がかりとなる。

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