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相互扶助論

そうご ふじょろん

クロポトキン·近代

クロポトキンの進化論的著作

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哲学

この著作について

亡命中の地理学者にしてアナーキスト、ピョートル・クロポトキンが雑誌連載をもとにまとめた進化論的社会論で、協力を生物学と歴史の両面から論じた著作。

【内容】

トマス・ハクスリーの「生存競争こそ自然の掟」という社会ダーウィニズム的主張への反論として書かれている。蟻や鳥、狼の群れや齧歯類の集落に見られる協力行動から始まり、原始部族、古代ギリシャ・ローマの共同体、中世の自由都市、ギルド、村落共同体、そして現代の労働組合・共済組合へと、時代と空間を越えて「相互扶助」が社会を支えてきた事実を博物学的に積み重ねる。競争ではなく協力こそが進化と文明の主要な力だという結論が、シベリアでの地理学調査の実地体験に裏打ちされて提示される。

【影響と意義】

アナーキズムやサンディカリズム、協同組合運動の理論的支柱となっただけでなく、現代の進化生物学における互恵的利他主義や群選択の議論、共有地の経済学の祖としても再評価されている。日本では大杉栄《おおすぎさかえ》の翻訳によって早くから紹介された。

【なぜ今読むか】

市場競争一色の語彙で社会を語ることに疲れたとき、「協力こそが生き延びる力だ」という百年前の博物学的主張は、現代の気候危機やコモンズ論にも直結する新鮮な視点として立ち上がってくる。

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