中
『中論偈頌総覧』
ちゅうろんげじゅそうらん
三枝充悳·現代
三枝充悳による龍樹《りゅうじゅ》の中論の詳細な解説書
文化・宗教
この著作について
仏教学者・三枝充悳《さいぐさみつよし》が、大乗仏教の論理的基礎をなす龍樹《りゅうじゅ》の『中論』の偈頌を一句ずつ訳・注し、諸訳注との対照も添えた総合的研究書。
【内容】
『中論』は全二十七章、四百四十八偈からなる論理詩で、「空《くう》」の思想を展開する大乗仏教中観派の根本文献である。本書はまず全偈のサンスクリット・漢訳・日本語訳を対照で掲げ、各偈にそれぞれの論旨、論理構造、議論の相手となる説一切有部の教理との関係を解説する。因果、去来、燃料と火、苦、諸根、有為、業と行為主体、時、涅槃《ねはん》、十二因縁の各章が順に取り上げられ、龍樹の「自性《じしょう》の否定」と「二諦《にたい》の教説」が骨格として浮かび上がってくる。
【影響と意義】
日本語で『中論』を自ら読み解こうとする人にとって、最も信頼される参考書の一つであり、大学院レベルの仏教学研究の基本文献となっている。西谷啓治《にしたにけいじ》以来の京都学派の「空」理解、現代の東西対話哲学にも間接的な影響を持ち続けている。
【なぜ今読むか】
現代の「空」ブームの根にある龍樹の論理そのものを原典に沿って確かめたい読者にとって、本書は迂回のない道である。ニヒリズムとも無関心とも異なる、「あらゆる固定化を静かに解体していく思考」に触れる深い読書経験になる。
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