精
『精神と物質:意識と科学的世界像をめぐる考察』
せいしんとぶっしつ
エルヴィン・シュレーディンガー·現代
物理学者シュレーディンガーがウパニシャッドの梵我一如を語る思索
哲学科学意識
この著作について
量子力学の創始者の一人エルヴィン・シュレーディンガーが、1956年ケンブリッジ・トリニティ・カレッジで行った連続講演をまとめた著作(原題 Mind and Matter, 1958)の邦訳である。物理学者の立場から意識と物質の関係を省察し、晩年のシュレーディンガーが到達した独自の世界観を凝縮した思想的遺書というべき一冊である。
【内容】
本書は六章からなる。意識の物理的基盤、進化における意識の役割、客観性の原理、知覚の算術論的パラドックス、科学と宗教、神秘体験と感性などが順に論じられる。中心テーマは、物理科学が世界像を構築する際に意識を主体側に追いやって除外することで成立しているという「客観化の原理」の自己反省である。シュレーディンガーは、すべての意識は実は単一であり、複数性は錯覚にすぎないと結論する。これはウパニシャッド・ヴェーダーンタの梵我一如思想と一致する見解である。
【影響と意義】
科学者によるインド思想への深い共感を表明した古典として、東西比較哲学・意識研究・科学哲学の領域で広く読み継がれてきた。シャンカラ不二一元論への明示的な参照も含む。
【なぜ今読むか】
意識のハード・プロブレムが議論される現代において、量子力学の創始者が示した「意識の単一性」というラディカルな見解は依然として刺激的である。
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