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『わが命つきるとも』
わがいのちつきるとも
ロバート・ボルト·現代
トマス・モアの良心と殉教を描く戯曲
哲学戯曲
この著作について
イギリスの劇作家ロバート・ボルトが1960年に発表した戯曲 A Man for All Seasons。ヘンリー8世の離婚問題に直面したトマス・モアが、良心と国王権力のはざまで決断を迫られ、最終的に大法官の地位と命を失っていく過程を凝縮した群像劇である。
【内容】
モアは敬虔なカトリックとして、ヘンリー8世の離婚と英国国教会成立の宗教的根拠を承認できない。沈黙によって自らの立場を表明する戦略を取るが、共通人と呼ばれる狂言回しが場面をつなぎ、リチャード・リッチの偽証によって最終的に有罪判決を受ける。妻アリスや娘マーガレットとの別れ、トマス・クロムウェルとの法廷劇、断頭台に向かう最後の言葉まで、すべてが良心の重さを問う構成となっている。1966年にフレッド・ジンネマン監督で映画化され、アカデミー賞6部門を受賞した。
【影響と意義】
戦後英米演劇における良心と権力の主題を扱う代表作で、世界各国で繰り返し上演されている。トマス・モア像を現代に蘇らせ、ボルト自身の戦時体験に裏付けられた政治的良心の探究としても読まれてきた。
【なぜ今読むか】
組織への同調圧力と個の良心の対立は普遍的主題であり、内部告発や少数意見の保持という現代的問題と直結する。短く濃密な戯曲ゆえ、一気に読み通せる。
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