法
『法の帝国』
ほうのていこく
ロナルド・ドゥオーキン·現代
解釈主義法哲学の金字塔。法を「統合性としての法」として再定義する
法哲学哲学
この著作について
ロナルド・ドゥオーキンが1986年に公刊した法哲学の主著(原題『Law's Empire』)。前作『権利論』の議論を発展させ、彼独自の解釈主義法哲学を体系化した代表作である。
【内容】
ドゥオーキンは法概念をめぐる伝統的論争(法実証主義 vs 自然法論)を超えて、「解釈的概念としての法」という第三の道を提示する。法とは、共同体の法的実践を最も整合的に正当化する原理の体系であり、裁判官は「統合性(integrity)としての法」を実現するべく解釈を行う。架空の理想的裁判官「ヘラクレス」が、過去の判例・法令・憲法解釈を最も整合的・道徳的に解釈する作業を通じて、法の真理が決定される。コモンロー、法令解釈、憲法解釈、人種差別判例、中絶判例などが具体的に論じられる。
【影響と意義】
ハート=ドゥオーキン論争は20世紀後半の法哲学の中心であり、本書はその最終的な集大成となった。米国憲法解釈論(特にリベラル派)の理論的基盤となり、欧州司法裁判所・欧州人権裁判所の解釈方法論にも影響大。
【なぜ今読むか】
憲法解釈・国際法・AI法など現代の法的論争に「正しい解釈とは何か」を考える共通の枠組みを与える。