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空の論理:中観

くうのろんり ちゅうがん

梶山雄一·現代

龍樹《りゅうじゅ》の中観思想を解説した入門書

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哲学入門

この著作について

仏教学者・梶山雄一《かじやまゆういち》が、龍樹に始まる中観派の空の思想を論理学的な視座から解きほぐした中観派入門の決定版。

【内容】

本書は龍樹中論の核心命題「縁起《えんぎ》なるがゆえに空」を出発点に据える。あらゆる事物が自性(固有の実体)を欠くことを論証する中観派の方法を、世俗諦と勝義諦の二諦説、四句分別を用いた論敵批判、帰謬論法(プラーサンギカ)の構造として丁寧に紹介する。さらに、ブッダパーリタ、チャンドラキールティ、シャーンタラクシタ、そしてチベットのツォンカパに至るまでの中観思想の展開が追跡される。空をニヒリズム(虚無主義)と混同する誤解が慎重に退けられ、空と縁起と中道が一体であることが強調される。

【影響と意義】

空の思想は大乗仏教のほぼすべての学派の基礎をなし、禅、浄土教、日本仏教の思想背景にもなっている。本書は日本におけるインド仏教哲学研究の到達点を示し、のちの仏教学者たちの空思想理解に広い影響を与えた。現代の反実体論的哲学(プロセス哲学、関係主義存在論)とも響き合う射程を持つ。

【なぜ今読むか】

AIやSNSにおける「自己」のゆらぎが話題となる時代に、「固定した実体はなく、すべては関係のなかにある」という中観派の視座は新鮮な補助線を引いてくれる。仏教に論理的厳密さを求める読者にとって、飽きの来ない書物である。

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