古
『古今和歌集《こきんわかしゅう》』
こきんわかしゅう
紀貫之ほか編·古代
勅撰和歌集の第一号にして王朝和歌の規範
文学日本
この著作について
醍醐天皇の勅命により紀貫之《きのつらゆき》・紀友則《きのとものり》・凡河内躬恒《おおしこうちのみつね》・壬生忠岑《みぶのただみね》の四人が編纂し、905年ごろに奏上された、日本最初の勅撰和歌集。全20巻、約1100首を収め、以後千年にわたる日本和歌の規範を確立した。
【内容】
春夏秋冬・離別・羇旅《きりょ》・恋・雑《ぞう》など主題別の構成で、各巻内部では季節や感情の推移に沿って歌が配列される。『万葉集』のおおらかな「ますらをぶり」に対し、繊細で技巧的な「たをやめぶり」を確立した。とくに紀貫之による仮名序は、「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」の一文で始まり、和歌の起源・分類・歴代歌人評を論じた日本最古の本格的歌論である。
【影響と意義】
以後の八代集(八つの勅撰和歌集)の形式的・美学的な範型となり、藤原定家の『新古今和歌集《しんこきんわかしゅう》』、中世連歌、近世俳諧、さらに現代短歌にまで系譜が続く。本居宣長《もとおりのりなが》や賀茂真淵《かものまぶち》の国学は、本書を古代日本精神の結晶として読み直した。
【なぜ今読むか】
短い三十一文字のなかに情景と感情を織り込む日本語の型を学ぶ最良の教室。仮名序だけでも、日本における「詩とは何か」の最初期の回答に触れられる。