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隠された十字架

かくされたじゅうじか

梅原猛《うめはらたけし》·現代

法隆寺を聖徳太子怨霊鎮魂の寺と読む大胆な仮説

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哲学文化・宗教

この著作について

哲学者・梅原猛《うめはらたけし》(うめはらたけし、1925〜2019)が1972年に新潮社から刊行した法隆寺論である。副題は「法隆寺論」。雑誌『すばる』に三回にわたり連載されたものを単行本化し、第26回毎日出版文化賞を受賞した。

【内容】

本書は冒頭で「法隆寺の七つの謎」を提示する。夢殿の救世観音がなぜ秘仏として封印されたのか、聖霊会で七歳の聖徳太子像と舎利が並べて祀られるのはなぜか、といった疑問群である。これらの謎を解く鍵として梅原は「法隆寺は仏法を護る寺であると同時に、聖徳太子の怨霊を鎮めるために建立された寺院だ」という仮説を提示する。蘇我氏滅亡から太子の子・山背大兄王《やましろのおおえのおう》一族の自害に至る歴史をたどりながら、怨霊鎮魂のしるしを建築・仏像・年中行事に読み取っていく。

【影響と意義】

戦後日本の思想家のなかでも、梅原猛の仕事は日本文化を古代から近代まで貫く独自の文化史として描こうとした点に特徴がある。本書は水底の歌などと並ぶ主要作で、文学・宗教学・精神史の研究者に広く参照されている。

【なぜ今読むか】

直観的仮説と実証史学の緊張を体感できる名著であり、文化を読み解く想像力の鍛錬になる。

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