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イスラームの構造

いすらーむのこうぞう

黒田壽郎·現代

イスラーム文明の内的構造を分析した研究書

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宗教入門

この著作について

イスラーム学者・黒田壽郎《くろだとしお》が、イスラームを単なる宗教ではなく、法・倫理・政治・経済を貫く包括的な文明として内在的に捉え直した入門書。

【内容】

本書はまず、唯一神への帰一を意味する「タウヒード」を中核原理として掲げる。そこからクルアーンとスンナに基づくシャリーア(法)、ウンマ(信仰共同体)、カリフ制、礼拝・断食・喜捨(ザカート)・巡礼といった五行、利子禁止と喜捨に根ざす経済倫理、家族法や刑法が一つの体系として連動していることが示される。六信五行といった信仰実践が、日常生活や経済倫理とどう結びついているかが解き明かされ、スンナ派とシーア派の歴史的分岐、スーフィズムの位置づけ、近代主義とイスラーム復興の動きにも踏み込む。西洋近代が前提とする「宗教と政治の分離」という枠組みを一度括弧に入れて、イスラームを内側から理解しようとする姿勢が貫かれる。

【影響と意義】

日本のイスラーム理解は政治ニュースを通じた断片的なものに留まりがちだが、本書は文明としてのイスラームを総体として提示することで、ステレオタイプを解きほぐす力を持つ。キリスト教ユダヤ教との比較軸も明確で、比較宗教学の入門としても機能する。

【なぜ今読むか】

中東情勢、移民、多文化共生、国際ビジネスといった場面でイスラームに接する機会は確実に増えている。断片的な報道ではなく、一つの文明として理解し直すための、落ち着いた水先案内の書である。

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