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龍樹《りゅうじゅ》(石飛道子)

りゅうじゅ(いしとびみちこ)

石飛道子·現代

龍樹の論理学を現代的に分析した意欲的著作

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哲学

この著作について

仏教学者・石飛道子《いしとびみちこ》が、龍樹(ナーガールジュナ)の論証を現代論理学の枠組みで精密に再構成した意欲的な研究書。

【内容】

本書はまず、龍樹の思想が単なる信仰的言明ではなく、鋭利な論証手続きの体系であることを示す。帰謬論法(プラサンガ)、四句否定(テトラレンマ)、二諦の教説、自性の否定といった方法論が、一つ一つ現代論理学の語彙で整理される。続いて、中論の因果、運動、時間、涅槃《ねはん》、煩悩などの章が選ばれ、論証の構造が明示的に再構成される。龍樹の目的が何らかの「別の主張」を立てることではなく、相手が依拠する概念的前提を内側から揺さぶり、執着そのものを解体することにあった、と鮮やかに示される。

【影響と意義】

仏教学と現代分析哲学、論理学を架橋する試みとして、国内外の研究にも一定の影響を与えてきた。龍樹研究の伝統的な文献学的アプローチに対して、論理的構造の分析を前面に出す新しい切り口を提示している。

【なぜ今読むか】

「その主張の前提は何か」を徹底して問い続ける思考の訓練は、現代の議論でも価値を失っていない。古代インドの思想家の鋭利な論理を現代の言葉で体験できる、知的刺激の大きい一冊である。

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