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吾輩は猫である

わがはいは ねこである

夏目漱石·近代

猫の視点で明治社会を風刺した漱石の出世作

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文学

この著作について

夏目漱石が1905年から1906年にかけて雑誌「ホトトギス」誌上に連載したデビュー長編で、猫の目を通して明治の知識人社会を風刺した代表作。

【内容】

名もなき一匹の猫が、中学の英語教師・苦沙弥《くしゃみ》先生の家に住み着き、主人やその周囲の知識人たちの滑稽な言動を冷静に観察して語る、という一風変わった構成をとる。美学者・迷亭、理学者・寒月、寡作の詩人・東風ら登場人物が入れ替わり現れ、西洋化する明治社会の表層的な近代化、知識人の空疎な議論、人間社会の虚栄を、猫の醒めた目で痛快に描き出す。落語的なユーモアと辛辣な皮肉が絶妙に溶け合う文体が特徴である。

【影響と意義】

日本近代文学の出発点の一つであり、漱石文学の原点となった。一人称の語り手を人間ではなく動物に据えることで、社会を批評的に描くという手法は、後の日本文学に広く影響を与えた。近代と伝統の狭間で揺れる明治日本の空気を、ここまで軽やかに封じ込めた文学作品は他にない。

【なぜ今読むか】

「吾輩は猫である。名前はまだ無い」という冒頭は、日本文学でもっとも有名な書き出しの一つ。人間社会を外から観察するという視点の面白さは、120年経った今読んでも新鮮に響く。

著者

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