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『フッサリアーナ』
エトムント・フッサール·現代
フッサールの遺稿4万ページを校訂刊行する全集シリーズ
哲学現象学
この著作について
ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のフッサール文庫が編纂・刊行する、エトムント・フッサールの校訂版全集の総称である。1950年に第一巻『デカルト的省察』が公刊されて以来、半世紀以上にわたって刊行が続いている。
【内容】
フッサールは生涯で4万ページを超える速記原稿を残した。1938年の死後、ナチスによる焼却を恐れたベルギーの神父ヘルマン・レオ・ファン・ブレダがフライブルクに密かに赴き、未亡人マルヴィーネと協力して遺稿を国外へ運び出した。これら膨大な草稿群は現在ルーヴェンの「フッサール文庫(Husserl-Archief)」に保管され、研究者によって順次校訂・刊行されている。シリーズはすでに40巻を超え、生前未公刊の講義録、研究草稿、書簡、最晩年の「Cマヌスクリプト(時間意識)」など、フッサールの思考の現場を伝える貴重な資料群を含む。
【影響と意義】
本シリーズの刊行によって、生前のフッサール理解は大きく書き換えられた。とりわけ受動的綜合、間主観性、生活世界をめぐる遺稿の刊行は、メルロ=ポンティ、リクール、デリダ、現代の発生的現象学研究に決定的影響を与えた。20世紀後半以後の現象学研究は、本シリーズなしには成立しない。
【なぜ今読むか】
フッサール思想を「主著」だけで理解する時代は終わり、思考の現場である草稿群へ降りていく研究が標準となった。本シリーズは、哲学的探究が公刊著作の背後でいかに密度高く展開されていたかを目撃する稀有な機会である。
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