法
『法然《ほうねん》の衝撃』
ほうねんのしょうげき
阿満利麿《あまとしまろ》·現代
法然の専修念仏が日本仏教史に与えた革命的衝撃を論じた浄土思想入門書
宗教
この著作について
宗教学者・阿満利麿《あまとしまろ》が、浄土宗の開祖・法然《ほうねん》の登場が日本仏教史に与えた地殻変動を一般読者に向けて描いた浄土思想入門の名著。
【内容】
本書はまず、平安末期の貴族仏教と、民衆が膨大な末法思想のなかで救いに届かない現実から始まる。そのなかに現れた法然は、天台教学を究めたのち、ひたすら称名念仏(南無阿弥陀仏を口に唱えること)だけで誰もが往生できるとする「専修念仏」を提示する。阿満はこの教えが、修行や財力や学識の有無を問わず、貧者・病者・女性・武士を含むあらゆる人に救いの道を開いた点で、古代仏教の身分階層的な世界観を根底から覆す出来事だったと論じる。あわせて、弟子親鸞《しんらん》の絶対他力思想への展開、現代人にとっての念仏の意味が簡潔に語られる。
【影響と意義】
ちくま学芸文庫のロングセラーとして、浄土仏教の入門書の定番の位置を占めている。日本中世思想史・宗教社会学の文脈で、法然・親鸞の革命性を再評価する流れを一般読者に届ける役割を担ってきた。
【なぜ今読むか】
頑張れない自分、うまく生きられない自分を責め続ける現代に、「何かを積み重ねた者だけが救われるのではない」という浄土思想の逆説は、いまなお静かな解放感を与える一文となる。