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ホモ・サケル

ジョルジョ・アガンベン·現代

剥き出しの生と主権の関係を古代法から解剖した政治哲学の主著

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哲学政治

この著作について

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben)が1995年に刊行した政治哲学の主著(原題『Homo sacer: Il potere sovrano e la nuda vita』)。以後二十余年にわたって続く『ホモ・サケル』シリーズの出発点となった記念碑的著作で、現代主権理論の基本書として読まれている。

【内容】

アガンベンは古代ローマ法の奇妙な人物「ホモ・サケル(聖なる人)」に着目する。この人物は犠牲として神に捧げることは許されないが、殺害しても殺人罪には問われない。すなわち法の庇護から完全に排除されながら、まさにその排除によって法と主権の領野に捕らえられた存在である。アガンベンはカール・シュミットの主権論、ハンナ・アーレント全体主義論、ミシェル・フーコーの生政治論を一つの地平に統合し、「剥き出しの生(la nuda vita)」を例外として包摂することこそ、古代から現代までの西洋政治の根本構造であると論じる。強制収容所、難民、脳死患者、テロリスト、例外状態下のテロとの戦争までが、この構造の現代的変奏として読み解かれる。

【影響と意義】

難民政策、反テロ立法、パンデミック下の例外状態、人権とバイオ倫理をめぐる議論で、本書の枠組みは標準的な参照点となった。ジュディス・バトラー、エリック・サントナー、スラヴォイ・ジジェク、酒井隆史らの著作を通じ、日本でも政治哲学の必読書として定着している。

【なぜ今読むか】

例外状態、非常事態宣言、移民排除が日常化する時代に、その現象の根源を古代法まで遡って問い直す視座は、短い見出しでは語れない奥行きを与えてくれる。

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