キ
『キリスト者の自由』
きりすとしゃのじゆう
マルティン・ルター·近代
信仰による自由と隣人愛を二命題で示したルター宗教改革三大文書の一つ
宗教哲学
この著作について
マルティン・ルターが1520年に公刊した宗教改革初期三大文書の一つ。95箇条の提題から3年後、破門を予告されていた状況下で書かれ、ドイツ語版と学者向けラテン語版が同時発行された改革の神学的核心の宣言書。
【内容】
冒頭に有名な二命題が掲げられる。「キリスト者はすべてのものの自由な主人であり、誰にも従属しない。キリスト者はすべてのものに仕える僕であり、誰にでも従属する」。内なる魂は信仰によって律法から解放され神の前で自由である一方、外なる身体は愛によって隣人に仕える、という二重の規定を、『ガラテヤの信徒への手紙』と『ローマの信徒への手紙』を鍵に展開する。行いによる救いを退け、信仰義認の立場を簡潔に示す。
【影響と意義】
宗教改革の神学を一般信徒の言葉で伝える最初の成功例となり、ドイツ語圏の識字率向上と近代的主体形成の両面に影響した。プロテスタント倫理の源流の一つであり、後のマックス・ヴェーバーによる資本主義分析の出発点にもなっている。
【なぜ今読むか】
「自由と責任の両立」を巡る近代的問いの原型として、制度と良心の緊張を問う現代人にも示唆が多い。