戦
『戦争の枠組』
せんそうのわくぐみ
ジュディス・バトラー·現代
嘆きうる生の枠組を問う非暴力の倫理学
哲学現代思想政治哲学
この著作について
アメリカの哲学者ジュディス・バトラーが2009年に刊行したFrames of War: When Is Life Grievable?の邦訳である。清水晶子の訳で2012年に筑摩書房から出版された。なお正式邦題は送り仮名なしの『戦争の枠組』であり、書評等で散見される『戦争の枠組み』表記は誤りである。
【内容】前著『生のあやうさ』で導入された哀悼可能性の議論をさらに深め、生がどのような枠組(frames)のもとで可視化され、どのような生が暴力の対象として識別可能になるかを分析する。スーザン・ソンタグの戦争写真論、ガザ・イラク戦争、トーチャー・ポルノなどを論じつつ、生存可能性(precarity)・被傷性・非暴力の倫理を結びつける。後期バトラーの政治哲学の到達点を示すテクストの一つである。
【影響と意義】メディア論・ジャーナリズム研究・国際政治学の領域で広く参照され、視覚文化と戦争の関係を考える際の必読文献となった。脆弱性を共有する条件としての連帯、という発想は、その後のパンデミック論や移民論にも継承されている。
【なぜ今読むか】戦争映像が即時配信され「枠」が日常的に組み替えられる現在、本書が提示する分析枠組は、ニュース受容と倫理的判断の関係を考える上で実践的な示唆を与える。