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哲学者ディオゲネス ―世界市民の原像―

でぃおげねす せかいしみんのげんぞう

山川偉也·現代

犬儒派ディオゲネスの思想と生涯を描く入門書

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哲学入門

この著作について

古代哲学研究者・山川偉也《やまかわひでや》が、シノペのディオゲネスを「世界市民」という概念の原像として位置づけ直した本格的研究書。

【内容】

本書はまず、樽を住居とし、昼間に灯火を掲げて「人間を探している」と言い放ったといわれる犬儒派ディオゲネスの生涯と思想を、古代の証言や逸話を丹念に照らし合わせて再構成する。自足(アウタルケイア)、恥知らず(アナイデイア)、自然に従って生きるという実践哲学が、単なる奇行ではなく一貫した思想体系として提示される。アレクサンドロス大王との対面、「どの国の人か」と問われて「世界市民である」と答えたという伝承、奴隷として売られた際のエピソードにも独自の解釈が加えられる。ストア派エピクロス派、キリスト教への影響も視野に入れられる。

【影響と意義】

「世界市民(コスモポリテス)」という語を最初に用いたのがディオゲネスだとされる伝承を手がかりに、ポリス中心主義を超える思想の原点を犬儒派に見出す。ストア派のコスモポリタニズム、近代啓蒙思想、現代のグローバル倫理に至る系譜の源流を示した点で、古代哲学と現代思想の架橋を試みた意欲的な仕事である。

【なぜ今読むか】

所有・肩書・国籍にしがみつくあり方に疲れたとき、古代の奇人にして世界市民の声は、奇妙なほど軽やかな風として吹き込んでくる。現代人の常識を揺さぶる古代哲学の入口として刺激的な一冊である。

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