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あくりょう

ドストエフスキー·近代

ドストエフスキーの政治小説

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哲学

この著作について

ドストエフスキーがネチャーエフ事件に触発されて書いた長編で、ロシア革命運動の狂気を予感させる政治思想小説の代表作。

【内容】

ある地方都市に青年革命家ピョートル・ヴェルホーヴェンスキーが現れ、地主の子スタヴローギンを旗頭に据えて秘密結社を画策する。空論に酔う知識人、熱狂と恐怖に動かされる若者たち、宗教的狂気と虚無が入り乱れるなか、仲間の一人を処刑して組織を結束させる計画が進行していく。その中心にいるスタヴローギンは、輝くような魅力と深い空虚を併せ持ち、彼が幼女に対して犯した罪を記した「告白」が小説の暗い核を形づくる。神を失った思想がテロルと自己破壊に帰着する過程が、恐ろしいほどの筆致で描かれる。

【影響と意義】

ベルジャーエフ、カミュアーレントらによって、二十世紀のイデオロギー的暴力と全体主義を先取りした預言的作品として繰り返し論じられた。日本でも埴谷雄高《はにやゆたか》の『死霊《しれい》』などにその影が落ちている。

【なぜ今読むか】

正義を掲げて暴走する運動や、ネット空間で増殖する憎悪の論理は、いまも繰り返されている。その発火点となる思想と心理を、遠い外国の歴史物語としてではなく自分の問題として読める書物である。

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