フィロソフィーマップ

サイボーグ宣言

さいぼーぐせんげん

ダナ・ハラウェイ·現代

人間/機械/動物の境界を攪乱したフェミニズム科学論の記念碑

Amazonで見る
哲学社会思想

この著作について

ダナ・ハラウェイ(Donna Haraway)が1985年に発表した論文(原題『A Cyborg Manifesto: Science, Technology, and Socialist-Feminism in the Late Twentieth Century』)。1991年に論集『Simians, Cyborgs, and Women』に収録され、以降の科学技術社会論・フェミニズム理論・ポストヒューマニズム研究の出発点となった記念碑的テクストである。

【内容】

本書は「サイボーグ」を、二十世紀後半の資本主義と軍事技術の産物であると同時に、人間/機械・人間/動物・物理/非物理といった近代の諸二元論を攪乱する批判的形象として捉え直す。冷戦下の軍産複合体が生み出したハイテク存在を、単に否定するのでも無批判に賛美するのでもなく、その内部からフェミニズム政治の新たな主体として奪還することが提案される。エコフェミニズムやスピリチュアル・フェミニズムが依拠する「自然な女性」像は拒絶され、不純で混成的な連帯を築くための想像力が擁護される。有名な一文「私は女神であるよりもサイボーグになりたい」は、本書の政治的姿勢を象徴する標語となった。

【影響と意義】

ハラウェイ自身の後続著作『犬と人が出会うとき』『伴侶種宣言』、STS(科学技術社会論)、ブラウィン・コーネル・ウェストらの交差性フェミニズム、ブルーノ・ラトゥールのアクターネットワーク理論、ロージ・ブライドッティのポストヒューマニズム、最近の新唯物論と速度論的フェミニズムに至る広大な系譜の源流となった。

【なぜ今読むか】

AIとの同居・ウェアラブルデバイス・ジェンダー多様性が日常化する時代、近代の二元論を崩す具体的な想像力の古典として、本書は年ごとに現代的意義を増している。

この著作をマップで見るAmazonで見る