コ
『コモン・センス』
トマス・ペイン·近代
アメリカ独立を平易な言葉で訴えたパンフレットの古典
政治
この著作について
イギリス生まれの政治パンフレット作家トマス・ペイン(1737〜1809)が1776年1月にフィラデルフィアで匿名刊行したパンフレット。植民地アメリカで爆発的に売れ、独立宣言への世論を決定づけた歴史的文書である。
【内容】
君主制と世襲貴族制を「常識」の名のもとに徹底批判し、植民地が母国イギリスから独立すべき理由を、神学・歴史・経済・道徳の四つの角度から論じる。難解な学術用語を避け、「もし王というものが必要であれば、われわれは皆、自然権によって王である」といった平易な表現で、読み書きのできる一般市民を直接の読者に据えた点が画期的だった。共和制の道徳的優位、独立による商業的自由、世界に希望を与える新しい国家像を提示する。
【影響と意義】
刊行から3か月で12万部を売り、植民地全人口の比率に換算すれば現代米国で2000万部相当の影響力を持った。トマス・ジェファーソンの独立宣言の文体や論調に直接影響を与え、市民が政治の主体として議論に参加する近代の政治パンフレット文化の出発点となった。フランス革命期には『人間の権利』も書き、近代民主主義論の重要な理論家として位置づけられている。
【なぜ今読むか】
専門用語を排して市民に直接語りかける政治言論の力を、最良の形で示した古典である。