デ
『デカルト派言語学』
でかるとはげんごがく
ノーム・チョムスキー·現代
生成文法を合理主義の伝統に位置づけた言語学史
哲学
この著作について
ノーム・チョムスキーが1966年に公刊した言語学史的論考。自身の生成文法を17世紀のデカルト派の言語観の現代的復活として位置づけ直した挑発的な一冊で、出版直後から言語学・哲学両方で論争を呼んだ。
【内容】
デカルト、ポール・ロワイヤル文法学派、ウィルヘルム・フォン・フンボルト、ヘルダーらの著作を素材に、人間言語に固有の「創造的側面」(有限の手段から無限の表現を生み出す能力)と、その基礎となる普遍的・生得的な文法構造という観念が、近代初期にすでに精緻に論じられていたことを示す。動物の合図や条件反射的反応では説明できない人間言語の特徴を、身体ではなく心の構造に帰する合理主義的伝統の系譜を再発見する試みである。
【影響と意義】
当時支配的だった行動主義と経験主義言語学への戦略的な歴史的反撃であり、チョムスキー言語学の哲学的正当化として大きな論点を提供した。言語学史研究と認知科学史の古典として、その後の論争を含めて繰り返し参照されている。
【なぜ今読むか】
大規模言語モデルの時代に改めて「言語能力とは何か」を考える素材。機械の統計学習と人間の文法知識の違いを、歴史の厚みのなかで測り直す手がかりになる。