仏
『仏教の誕生』
ぶっきょうてつがくのせかいかん
佐々木閑·現代
佐々木閑が釈迦の思想から大乗仏教まで平易に解説した仏教哲学の入門書
文化・宗教
この著作について
仏教学者・佐々木閑《ささきしずか》がNHK出版から刊行した、釈迦の思想から大乗仏教の展開までを俯瞰する一般向け仏教哲学入門。
【内容】
本書はまず、釈迦の時代のインド思想の状況とバラモン教的世界観を素描することから始める。そのうえで、縁起《えんぎ》、無常、無我、四諦《したい》、八正道《はっしょうどう》、十二因縁といった原始仏教の骨格が丁寧に整理される。続いて、上座部と部派仏教、ナーガールジュナの空観に始まる中観派、アサンガ・ヴァスバンドゥの唯識《ゆいしき》派、如来蔵思想と大乗仏教の発展、さらに密教、チベット仏教、禅、浄土、日蓮《にちれん》など日本仏教の諸宗派までが、哲学的骨格を崩さずに手際よく配置される。著者が強調するのは、「仏教は神ではなく生の苦しみの分析から始まる思想である」という点である。
【影響と意義】
仏教学の専門的知見を一般読者に橋渡しする入門書として、NHKブックスの哲学・宗教分野で定評を得ている。著者の他の著作(『出家とはなにか』『日々是修行』など)と合わせて、現代人の教養としての仏教理解の水準を引き上げる役割を担っている。
【なぜ今読むか】
葬儀や法事の場面で接する機会はあっても、仏教の思想そのものを学ぶ機会は意外と少ない。生と苦しみをめぐる分析として仏教を捉え直したい人に、知的な手応えと平明さを両立した案内書となる。